TAM・SAM・SOMを活用するポイントは?計算方法や事例まで徹底紹介!
TAM・SAM・SOMはどのような場面で活用されるのでしょうか。「それぞれの概要が知りたい」「活用方法がわからない」といった方に必見!
この記事では、TAM・SAM・SOMの概要や活用ポイントを紹介します。計算方法や事例についても詳しく解説しているので、是非参考にしてみてください。
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ターゲティングに必要なTAM・SAM・SOMとは?
TAM・SAM・SOMはある事業に関わる市場規模を数値化したものです。新規事業を立ち上げるときにTAM・SAM・SOMを活用することで市場規模や見込み収益を把握できます。
そのため、起業や新規事業立ち上げの際にTAM・SAM・SOMは重要な指標となり、ターゲティングに役立つのです。
それぞれの概要について解説します。
TAM(Total Available Market)
TAM(Total Available Market)とは、ある事業で顧客や売上を獲得できる見込みのある最大の市場規模のことです。
TAMそれぞれの意味を分けると以下になります。
- Total:全体
- Available:利用できる
- Market:市場
新規事業を展開したときに獲得できる最大の顧客数や売上金額の範囲を指し、市場全体で動く金額を表すときに活用されます。TAMの数値を参考に事業拡大することで、市場シェアを獲得できるのです。
TAMは事業を展開したときのターゲットに関係なく、市場が同じであれば間接的なものも全て含まれ、市場規模はSAMとSOMと比較して一番大きいです。
SAM(Serviceable Available Market)
SAM(Serviceable Available Market)とは、ある事業で顧客へのアプローチが可能な市場規模のことです。
SAMそれぞれの意味を分けると以下になります。
- Serviceable:使用できる
- Available:利用できる
- Market:市場
ある事業で展開する商品・サービスに直接的に関わる市場に絞られたターゲットを指します。
間接的なものを含むTAMで定めた市場規模の中から、自社が直接的にアプローチしうる市場を算出するため、TAMよりは小さいですがSOMよりは大きい市場規模です。
SOM(Serviceable obtainable Market)
SOM(Serviceable obtainable Market)とは、ある事業でアプローチしたときに実際に自社が顧客や売上を獲得できる市場規模のことです。
SOMそれぞれの意味を分けると以下になります。
- Serviceable:使用できる
- obtainable:獲得する
- Market:市場
SOMは現実に近い数値を算出することから、自社の売上目標にも活用できます。SAMは直接的に関わる市場になりますが、SOMはその中から実際に顧客を獲得できる市場に限られています。
TAMとSOMと比較すると市場規模は小さいですが、獲得可能性が一番高いです。
TAM・SAM・SOMの関係性
TAM・SAM・SOMはそれぞれ、市場規模を表す指標で、包括関係にあります。
一番大きな括りのTAMの中にSAM、その中にSOMが入るという形です。
例えば、企業向けSaaSサービスで考えると以下のようになります。
TAM |
企業向けSaaSサービスの市場全体(幅広く競業をおさえる) |
---|---|
SAM |
自社がアプローチできるターゲットに絞り込む |
SOM |
アプローチして実際の利用に繋がる顧客層の設定 |
合わせて意識すべきPAMとは
3つの指標に比べて、使用頻度は低い指標となりますが、PAMという指標もあります。
これは、SAM・SOMとは違い、現在ターゲット層とはされないけれど、潜在的にニーズを持っている層を表しています。つまり、将来的にはターゲット層になり得る市場を指しています。
一定まで成長したサービスや事業は、更なる発展のために、潜在層へのアプローチも必要となります。
そういったときにPAMを設定することで、効率よく潜在顧客を取り込むことができるでしょう。
押さえておくべきターゲットリードの獲得施策とは
近年、IT化が進む中で多数の企業に対して効率的に製品/サービスを宣伝し、
販売できるBtoBマーケティングに注目が集まっています。
一方で、手法や技術が多様化する中、まず何から手をつけるべきか判断できない
という方も多いのではないでしょうか。
そこで、本資料では顧客獲得を進めるにあたり
重要なリード獲得施策について解説します。
TAM・SAM・SOMを活用するポイント
TAM・SAM・SOMは、活用方法をとらえて事業の進め方やKPIの設定に活かすことで、効果を発揮します。以下3点が、知っておきたい活用方法です。
それぞれの活用ポイントについて解説します。
新規事業の立ち上げ時の市場把握
TAM・SAM・SOMを活用するポイントの1つ目が、自社で新規事業を展開するときです。
新規事業立ち上げのときは、前もって「どれぐらいのニーズがあるのか」といった市場を把握しておく必要があります。
おおよその市場を把握しておけば、見込み収益や競合などをつかむことが可能です。見込み収益がわかれば予算が立てやすく、競合がわかれば差別化を図る事業戦略を立案できます。
逆にTAM・SAM・SOMを活用しなかったとすると、ターゲットにズレが生じてしまい収益が発生せず事業が失敗に終わるかもしれません。このような点から、事業を成功させるためにもTAM・SAM・SOMは重要と言えます。
投資家の投資基準
TAM・SAM・SOMを活用するポイントの2つ目が、投資家が自社に投資するかどうかの基準になることです。投資家は企業が展開する事業成長性を踏まえて判断します。TAM・SAM・SOMは事業成長性の判断基準として活用でき、投資家の投資基準になるのです。
それに、TAM・SAM・SOMは具体的な市場規模や見込み収益がわかるので、投資家からの信頼獲得に繋げやすいです。
逆にTAM・SAM・SOMを活用しなかったときは、投資家は事業成長性を判断できず、投資によって得られるリターンも予測できず、投資をして貰える可能性が低くなります。
SaaS事業のマーケット分析
TAM・SAM・SOMを活用するポイントの3つ目が、SaaS事業のマーケット分析ができることです。SaaSはSoftware as a Serviceの略称で、SaaS事業はクラウドサーバにあるソフトウェアをインターネット経由でサービス提供することです。
例として、Microsoft365やchatwork・Gメールなどのサブスクリプション製品が多く挙げられます。
顧客は月額や年額などの更新費用を支払って継続的にSaaS製品を利用しています。したがって、SaaS事業を展開する際は継続利用を続けて貰うためのマーケット分析が重要になるのです。
別記事のSaaSマーケティングでは成果を出すコツを紹介していますので、是非参照ください。
TAM・SAM・SOMの計算方法
TAM・SAM・SOMのそれぞれの計算方法を解説します。
TAMの計算方法
TAMはある事業の市場全体における総需要をあわせた数値となります。
TAMの計算式は次の通りです。
市場全体のユーザー数×単価×年間で購入した回数=TAM
TAMは市場全体と対象が広すぎるため、SAMやSOMと比較しておおまかな数値しか算出できません。市場が大きい分、競合が増えてしまうのでTAMの数値が高いほど事業戦略が大切になります。
SAMの計算方法
SAMはTAMで洗い出した市場の中から、実際に顧客としてアプローチしうる数値となります。
SAMの計算式は次の通りです。
興味のあるユーザー数×支払検討している金額=SAM
アプローチしうるターゲットに絞り込んでいるので、TAMで算出した数値よりも下がってしまいます。自社のターゲット層を明確にしていないと正確な数値が出せません。
SOMの計算方法
SOMは、ある事業を展開したときに実際に獲得できる数値となります。
SOMの計算式は次の通りです。
既存ユーザー数×支払予定の金額=SOM
既存ユーザーだけでなく、獲得可能性が高いユーザーも含まれます。TAMやSAMと比べると、一番現実に近い数値を算出でき、売上目標などでよく活用されます。
TAM・SAM・SOMの分析方法
TAM・SAM・SOMの分析方法は、大きくトップダウンとボトムアップに分かれます。
それぞれを活用する上での注意点を解説します。
トップダウン
トップダウンとは、市場全体から広く見た分析方法のことです。市場全体から事業ターゲットに含まれない市場を排除するので、TAMの計算を行う際に活用されます。
トップダウンには下記2つの注意点があります。
- 情報・データがアップデートされたものか
- 調査方法は適切かどうか
1つずつ見ていきましょう。
情報・データがアップデートされたものか
トップダウンで分析を行う際は、利用する情報・データが最新かどうかを確認しましょう。最新の情報・データであれば、正確な分析を行うことが可能です。しかし、数年前など古い情報・データを活用すると、信憑性がなくなってしまいます。
調査方法は適切かどうか
トップダウンで分析を行うときは、調査方法が適切かどうかを確認しましょう。調査会社に依頼する際は、会社によって調査方法・カテゴリー分類などが異なるため、計算結果に誤差が発生する可能性があります。事前に調査会社との認識合わせや取り扱う情報・データを精査した上で、適切な調査を行いましょう。
ボトムアップ
ボトムアップとは、需要がどれぐらいあるのかをターゲットから分析することです。アンケートなどを行って顧客一人一人のデータを収集して分析するので、SAMとSOMの計算を行う際に活用されます。トップダウンよりも具体的な情報を分析することが可能です。
ボトムアップには下記2つの注意点があります。
・質問内容が具体的か
・アンケート規模の大きさは適切かどうか
それぞれ解説していきます。
質問内容が具体的か
ボトムアップで分析を行う際は、顧客に対する質問内容を具体的にしておきましょう。質問内容が抽象的だと、顧客の回答も抽象的になり正確なデータが集められません。
例えば「服は何着ぐらい買いますか?」といった質問だと、時期に関係なく全ての服が対象になるので幅広い回答が集まってしまいます。「1年間のうち、コートは何着ぐらい買いますか?」といった具体的な質問のほうが、適切なデータを集めやすいのです。
アンケート規模の大きさは適切かどうか
ボトムアップで分析を行う際は、アンケート規模の大きさが適切かどうかを確認しておきましょう。アンケートを実施するターゲットが広すぎると、回答に偏りが出てしまいます。全員を対象にするのではなく、ターゲットをある程度絞り込んだ上で、アンケートを実施するのが好ましいです。
TAM・SAM・SOMの設定のコツ
TAM・SAM・SOMは事業計画を立てる際などに、非常に役立つため、コツを把握した上で慎重に設定しましょう。
TAM
TAMは中長期的に見る指標となり、承認者や投資家に魅力的な市場であると認識してもらうためにも、重要な指標であると言えます。
TAMによって将来性を表すことができますが、現実離れした市場設定の場合、信頼を勝ち取ることは難しいです。そこで、コントロールできる数値の設定をしたり、SAMやSOMとうまく組み合わせる必要があります。
SAM
SAMは、市場を勝ち取るための戦略を考えて設定するようにしましょう。
市場シェア理論を体系化したランチェスター戦略によると、市場シェアのうち「41.7%」のシェアを獲得すると、市場を勝ち取ったことを意味するとしています。
その事業で市場のトップに立てる規模感のSAMが望ましいです。
SOM
SOMは、短期的な視点でSOMの数字が順調に獲得できているのかが、事業がうまくいっているかの目安になります。
SAMの市場規模の中で、SOMが前述の「41.7%」を取れるように計画をしましょう。
TAM・SAM・SOMの活用事例
最後に、AirbnbとfreeeのTAM・SAM・SOMの活用事例を見ていきましょう。
Airbnbの事例
TAM・SAM・SOMの活用事例の1つ目が、Airbnbです。Airbnbは、宿泊施設・民宿を貸し出す人と借りる人をマッチさせるサービスを提供しています。
Airbnbがプレゼンテーションで発表したTAM・SAM・SOMは次の通りです。
- TAM: 世界全体の宿泊市場規模(20億ドル)
- SAM:格安オンライン宿泊予約の市場規模(5億6000万ドル)
- SOM:Airbnbで獲得した市場シェア(8400万ドル)
TAMには高級ホテルや高級旅館といった宿泊施設全体が含まれます。SAMを見る限り、Airbnbは格安宿泊が目的のユーザーをターゲットにしています。Airbnbが実際に獲得している市場シェアは8400万ドルなので、まだまだ拡大余地があると見込まれます。
freeeの事例
TAM・SAM・SOMの活用事例の2つ目が、freeeです。freeeは、法人やフリーランス向けに事務作業の効率化を推進するためのクラウドサービスの開発と運営を行っています。代表的な製品に「会計Freee」「freee人事労務」が挙げられます。
freeeは事業計画の説明で「会計Freee」「freee人事労務」が見据えるTAMに、約1.2兆円の見込みがあることを発表しました。内訳は「会計Freee」が6500億円で「freee人事労務」が約5500億円となります。
市場全体としても拡大傾向にあり、今後の成長性に期待できます。
TAM・SAM・SOMを活用して新規事業を成功させよう!
TAM・SAM・SOMの概要について理解できましたでしょうか。活用ポイントのほかにも、計算方法や事例などを解説しました。
TAMは売上や顧客を獲得できる見込みのある最大の市場規模のことで、SAMは顧客へのアプローチが可能な市場規模を意味し、SOMはアプローチしたときに獲得ができる市場規模を指します。TAMが一番大きい市場でその中にSAMがあり、SAMの中にSOMがある包括関係となっています。それぞれは新規事業の立ち上げや投資家の判断基準・SaaS事業のマーケティング分析に活用されることが多いです。
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