購買行動モデルの種類や時代ごとの特徴は?重要性や活用ポイントを解説!
購買行動モデルは、インターネットやSNSの普及により変化し続ける消費者行動の分析とマーケティングに役立つ概念です。本記事では、購買行動モデルの重要性から種類、特徴とともに、購買行動モデルをマーケティングへ活用する際のポイントを解説していきます。
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購買行動モデルとは?
購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを認知してから購買に至るまでの一連の行動をプロセスごとに分割し、パターン化した考え方です。
各プロセスは「関心」「欲求」など様々な種類が存在していますが、大枠のプロセスとして「認知」「購入前」「購入」「購入後」の4段階に分けてモデル化することが一般的です。
購買行動モデルの重要性
消費者を取り巻く環境は刻一刻と変化し、その購買行動は時代の影響を大きく反映します。
企業は自社の商品やサービスをどのようにしてターゲットに届けるかを常に時代と消費者の動向を注視しながら、適切なアプローチをしていかなければなりません。
消費者の行動パターンとともに、消費者と企業の間をつなぐチャネルの種類が増える中で、自社のターゲットの購買行動モデルを把握・活用することの重要性は高まり続けています。
そのため、新商品の企画・開発から販売、企業のブランディングに至るまで、購買行動モデルは企業経営に影響を及ぼす大きな要因となっていると言えるのです。
3つの時代変還
購買行動モデルという概念が提唱され始めてから昨今に至るまでに、購買行動モデルは大きく3つの時代に分類して考えることができます。
- マス広告時代
- インターネット時代
- SNS時代
これら3つの時代において、消費者の購買行動に大きく影響を及ぼしているポイントは、消費者と情報の関係性です。
情報に対し受け身一辺倒の状態であったマス広告時代を経て、インターネットの登場により、消費者は自らが情報を取りに行ける環境に身を置くこととなりました。
それと同時に、消費者は自らが情報の発信源となることが可能となり、情報との間により能動的な関係性が構築されていったのです。
そこに拍車をかけるかたちでSNSが急速に浸透し、「共有」や「共感」といった新たな要因が消費者に対して影響を及ぼす重要なポイントとなりました。
マーケティング手法においても大きな転換期となる、これら3つの時代ですが、それぞれにおける代表的な購買行動モデルについては、後述にて詳しく解説していきます。
マーケティングに活用するメリット
ターゲットの購買行動をパターン化することは、適切なマーケティング戦略の策定・実行においても重要性が高いポイントです。
消費者の購買行動がプロセスごとに可視化されることで、行動心理の傾向や特徴に関する分析が可能となり、戦略策定と課題解決の2点において、高い効果を発揮するためです。
近年のインターネットやSNSの台頭により、消費者を取り巻く環境は複雑化が進んでいます。
そのため、ターゲットに対し、適切な手段とタイミングでアプローチしなければ購買というゴールに至ることがますます難しくなっています。
そこで、消費者の視点に立った、適切で無駄のないマーケティング戦略に貢献するという点から、消費者行動がパターン化・可視化された購買行動モデルの活用の重要性は高まっているのです。
併せて、ターゲットの行動心理を時系列で分析することで、様々な種類の課題の洗い出しが可能となるというメリットもあり、高いマーケティング効果を生み出すことに貢献しています。
マーケティング活動に欠かせない「アクセス解析」のキホン
昨今のリモートワークの普及に伴って、
Webやオンラインのマーケティング施策の重要性が高まっています。
本記事で紹介している「購買行動モデル」を正しく理解した後、施策実行・効果検証を正しく行うためにも「アクセス解析」の基本を学んでおくことに損はありません。
どのような施策を行うかはもちろんのこと、実施後の振り返りも同じくらい重要と言えます。
そこで本資料では、オンライン施策の効果検証などに欠かせない、アクセス解析の基本を解説しています。
購買行動モデルの種類【マス広告時代】
マス広告時代の購買行動モデルが提唱されはじめたのは、1920年代頃からです。
この時代の購買行動モデルに見られる大きな特徴としては、TVCMを中心としたマスメディアを介しての商品やサービスの「認知」に焦点が当てられているという点があげられます。
ここからは、マス広告時代の代表的な3種類の購買行動モデルについて解説していきます。
①AIDA(アイダ)
AIDAは、アメリカのセント・エルモ・ルイス氏により提唱され、消費者の購買に至るプロセスをシンプルに示した古典的で汎用性の高い購買行動モデルの代表格です。
BtoCに適した購買行動モデルとされるAIDAは、以下のプロセスを表しています。
- Attention (認知) : 商品やサービスを知る
- Interest (関心) : 興味を持つ
- Desire (欲求) : 欲しいと思う
- Action (行動) : 購入する
②AIDMA(アイドマ)
AIDMAは、アメリカのサミュエル・ローランド・ホール氏により提唱され、前述のAIDAに「Memory(記憶)」が追加された購買行動モデルです。
消費者が関心を持った後、対象の商品やサービスが強く記憶に残り、忘れられないことが購買につながるポイントであるとした点が特徴で、印象付ける施策に加え、想起を促す施策も含まれます。
消費者の購買意欲維持に焦点を当てたAIDMAは、以下のプロセスを表しています。
- Attention (認知) : 商品やサービスを知る
- Interest (関心) : 興味を持つ
- Desire (欲求) : 欲しいと思う
- Memory (記憶・想起) : 覚える・思い出す
- Action (行動) : 購入する
③AIDCAS(アイドカス)
AIDCASは、AIDMAの「Memory」が「Conviction(確信)」に代わり、「Action」の後に「Satisfaction(評価)」が追加された購買行動モデルです。
特徴として「これは絶対に購入しよう!」と強く必要性を「確信」している点と、購入した結果に対し満足するというプロセスが含まれている点があげられます。
強い購入意志と満足度に焦点を当てたことで、住宅や自動車といった高価格帯の商材に適した購買行動モデルとされるAIDCASは、以下のプロセスを示しています。
- Attention (認知) : 商品やサービスを知る
- Interest (関心) : 興味を持つ
- Desire (欲求) : 欲しいと思う
- Conviction (確信) : 購入する必要性を確信する
- Action (行動) : 購入する
- Satisfaction(評価) : 購入した結果について満足する
購買行動モデルの種類【インターネット時代】
インターネットが普及し始めた1990年代ごろから、消費者の行動心理は変化を見せ始めます。
これまで企業が発信する情報を一方的に受け取るだけだった状態から、消費者自らが必要とする情報を取りに行ける状態へと環境が変化したことは、消費行動にも大きな影響を及ぼしました。
消費者が能動的に情報を収集するとともに、自らが発信者となる機会を得たことが、この時代の消費者行動における大きな特徴として、各購買行動モデルに表れています。
そして、インターネットの普及に伴い、これまでマス広告中心だったマーケティングの舞台は、徐々にインターネット上へと移っていったのです。
ここからは、インターネット時代の代表的な6種類の購買行動モデルについて解説していきます。
①AISAS(アイサス)
AISASは、2005年に電通により提唱され、「検索」と「共有」というインターネットを起点とした購買行動の特徴が反映された、この時代における基本的な購買行動モデルです。
AISASは、以下のプロセスを示しています。
- Attention (認知) : 商品やサービスを知る
- Interest (関心) : 興味を持つ
- Search(検索) : 情報を検索する
- Action (行動) : 購入する
- Share(共有) : 口コミやレビューを投稿し、共有する
②AISCEAS(アイシーズ)
AISCEASは、AISASをベースとし、「検索」の後に「Comparison(比較)」「Examination(検討)」が追加されている点が特徴の購買行動モデルです。
検索から購買までの間のプロセスがより細分化され、比較サイトや個人ブログでの生の声やリアルな口コミを購入の検討材料としている消費者の行動心理がより明確化されている点がポイントです。
情報収集における消費者の積極性に焦点を当てたAISCEASは、以下のプロセスを示しています。
- Attention (認知) : 商品やサービスを知る
- Interest (関心) : 興味を持つ
- Search(検索) : 情報を検索する
- Comparison(比較) : 品質や機能性を比較する
- Examination(検討) : 欲しいもの、自分に合ったものを検討する
- Action (行動) : 購入する
- Share(共有) : 口コミやレビューを投稿し、共有する
③ZMOT(ズィーモット)
ZMOTは、「Zero Moment of Truth」の略で、「消費者は店舗に来店する前から何を購入するかは決めている」という考え方の購買行動モデルです。
ZMOTのMOTとは、マーケティング用語で、消費者が商品やサービスに接して購入を決める瞬間、または、企業広告などに接してそのブランドに対する第一印象を決定する瞬間のことを指しています。
2010年にGoogleによって提唱され、自社HPやオンライン広告による訴求効果向上の施策の重要性が高いという点が、ZMOTをベースとしたマーケティング戦略の特徴です。
④FMOT(エフモット)
FMOTは、「First Moment of Truth」の略で、「店頭で消費者は商品を見てから3〜7秒の間でその商品が魅力的かどうかを見極める」という考え方の購買行動モデルです。
FMOTによるマーケティング戦略においては、消費者が商品と対峙したわずかな時間で商品の魅力を伝えることの重要性が高くなります。
2004年にこの概念を提唱したP&Gでは、FMOTの理論に基づき、パッケージデザインや店頭プロモーションや店内ディスプレイなどを強化することで、売上を伸ばすことができました。
しかしながら、あくまで店頭販売を前提とするFMOTは、インターネットでの買い物が主流となっている昨今においては、過去の理論となりつつあるという見方も少なくありません。
⑤SMOT(エスモット)
SMOTは、「Second Moment of Truth」の略で、実際に商品を購入した消費者が商品を使用し、継続購入の可否を決定する瞬間に焦点を当てた購買行動モデルです。
リピーターやファンを獲得するための重要なポイントとなるため、対象の商品やサービスを使用することで得られる価値や満足度向上の施策の重要性が高まります。
SMOTをベースとしたマーケティング戦略では、購入後のアフターサービスを強化することで、商品やサービス、ひいてはその企業に対する満足度・信頼度向上が期待できます。
加えて、試供品や次回購入時に使用できるクーポンの進呈などにより、同メーカーの他商品についてアピールすることもSMOTにおいては有効な手段と言えます。
⑥マイクロモーメント
マイクロモーメントは、スマートフォンの台頭による消費者行動の大きな変化を反映した購買行動モデルで、2015年にGoogleにより提唱されました。
「知りたい」「行きたい」「したい」「購入したい」などの衝動に対して、モバイルデバイスで反射的に検索行動をとる瞬間を指し、昨今のデジタルマーケティング施策における重要性が高まっています。
場所や時間を選ばず商品やサービスを購入することが可能となったことで多様化した消費者のニーズに対する、適切なアプローチの打ち出しがマーケティングにおける重要なポイントとなります。
購買行動モデルの種類【SNS時代】
2010年代に入ると、すでにインターネット上に築かれていた消費者が積極的に情報の収集と発信を行う土台の上にさらにSNSが登場します。
個人の持つ、または発信する情報の影響力がさらに増大し、購買行動モデルを構築する上でも重要性の高い要因となっていったのです。
ここからは、SNS時代の代表的な3種類の購買行動モデルについて、解説していきます。
①VISAS
VISASは、SNSなどに投稿された口コミの影響に焦点を当てた購買行動モデルです。
消費者が商品やサービスを認知する段階からレビューを共有する段階に至るまで、終始「共感」が行動心理の根底に存在しているVISASは、以下のプロセスを示しています。
- Viral(口コミ) : SNSを介しての認知
- Influence(影響) : 口コミを投稿した人物から影響を受ける
- Sympathy(共感) : 口コミの発信者や理念に共感
- Action(行動) : 購入
- Share(共有) : SNSやブログでレビューを投稿
商品やサービスそのものを欲しいと思うのではなく、口コミの発信者からの影響が購入へと促す大きな動機となっている典型的なSNS時代の購買行動モデルです。
②SIPS
SIPSは、VISASとは異なるかたちでSNS時代を象徴している購買行動モデルです。
SIPSで重要視されるポイントは「共感」と「参加」であり、買う買わないにかかわらずその商品やサービスを良いと感じる感情をシェアすることに重きを置いています。
これはSIPSにおいては、良い口コミやレビューが広がることの重要性が高く、情報の拡散がマーケットの拡大に直結するという考え方によるものなのです。
個々の発信者による口コミ・レビューの拡散効果に焦点を当てたSIPSは、以下のプロセスを示しています。
- Sympathize(共感) : SNS上の情報に共感
- Identify(確認) : 共感した商品の情報を検索・確認
- Participate(参加) : 「いいね」を押す、または 購入
- Spread(拡散) : 参加したことを拡散し共有
③ULSSAS
ULSSASは、消費者個人が作成したコンテンツを通じて商品やサービスの存在を認知し、SNSで検索・購入するという流れを示す購買行動モデルです。
2019年に提唱された比較的新しいモデルになり、これまでのSNSへの投稿に加え、UGC(User Generated Content、ユーザー作成コンテンツ)が含まれているのがポイントです。
YouTubeやTik TokなどのUGCは、SNSとの相互流入を図る施策として頻繁に活用され、その影響力によりSNS時代における進化型の消費者行動を生み出している要因と言えるでしょう。
認知から検索・購入までの全ての行動がSNS上で完結することに焦点を当てたULSSASは、以下のようなプロセスを示しています。
- User Generated Contents(認知) : SNSへの投稿から商品やサービスを認知
- Like(好印象) : 「いいね」などの反応を示す
- Search1(検索1) : SNS内で情報検索
- Search2(検索2) : 検索エンジンで検索
- Action(購買) : 購入します
- Spread(拡散) : 情報を拡散
購買行動モデルの活用ポイント5選
消費者の様々な行動心理に焦点を当て、数種類の概念が提唱されている購買行動モデルですが、マーケティング戦略の一環として、どのように活用していけばよいのでしょうか。
ここからは、購買行動モデルを活用する際におさえておきたい5つのポイントについて解説していきます。
指標の設定
自社の商品やサービスに適したマーケティング戦略を策定・実行にあたり、各プロセスにおける施策の効果測定の重要性は高く、効果を測るための指標(KPI)は大きな役割を担っています。
広告のクリック数やSNSから自社サイトへのの流入数など、数値化できる指標を設定することで、施策がポジティブな効果を生み出しているかを的確に分析することが可能となります。
購買行動モデルの各プロセスにこの指標を活用することで、評価、分析、修正のPDCAサイクルを効率的に回すことができ、施策の精度向上に貢献することが期待できるでしょう。
コミュニケーションの最適化
購買率の向上やサイト流入数増加などのコンバージョン率を高めるためには、適切な手法とタイミングで消費者とコミュニケーションを図る必要があります。
各プロセスにおける適切なタイミングでの適切なアプローチとはどのようなものなのかを綿密に設定することで、消費者の視点に立った施策を策定することができるのです。
次項では、コミュニケーションの最適化において、タイミングとアプローチの設定に必要不可欠なペルソナについて解説していきます。
ペルソナの設定
ペルソナは、マーケティング戦略を実行するにあたり、社内の共通認識を構築するという点でも重要性の高いツールです。
具体的なターゲット像を明確化することで、顧客目線でカスタマージャーニーの設定が容易となり、一貫性のある戦略の策定に貢献することが期待できます。
ペルソナの設定は、コミュニケーションの最適化に加え、次項で解説するカスタマージャーニーの設定にも活用することができます。
カスタマージャーニーの設定
カスタマージャーニーとは、消費者が対象の商品やサービスを購入するまでの一連のプロセスを「旅」に例えた概念です。
マーケティングでは、このカスタマージャーニーの各プロセスに対して、ペルソナの行動や感情、どのように商品と接点をもつかなどを図式化したカスタマージャーニーマップが用いられることが一般的です。
購買行動モデルを活用してカスタマージャーニーを作成し、マップ化することで、複雑化・多様化する消費者心理や行動傾向に対し、抜け漏れなく、より具体的な施策を策定することが可能となります。
施策の問題点を可視化する
カスタマージャーニーマップは、ポジティブな点だけでなく、ネガティブな要素や現状を洗い出す上でも高い効果を発揮します。
マップの作成においては、消費者の行動心理を軸にした購買プロセスに、歪みや現状とのずれなどがないかを見つけることが重要なポイントとなります。
そして、問題箇所に対しては具体的な改善策を検討することで、より消費者視点で一貫性のある商品・サービスへとブラッシュアップすることができるのです。
それぞれの購買行動モデルの特徴を理解して質の高いマーケティングを構築しよう!
消費者が商品やサービスを認知し購入に至るまでのプロセスが複雑化・多様化するのに乗じて様々な種類が誕生した購買行動モデルには、どれも特徴や適正があります。
そのため、SNSマーケティングが主流だからといって、全てのビジネスに対しSNS時代特有の購買行動モデルが適していると安易に考えることは大変危険です。
商品の種類や特性、またそれぞれのビジネスモデルによっては、現在でもAIDCASやFMOTが最適とされマーケティングに活用されているケースはまだまだ存在しています。
それぞれの購買行動モデルの特徴を理解した上で、自社の商品やサービスに最適なモデルを活用し、高い効果を生むマーケティング戦略を策定・実行していきましょう。
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