SaaSでフリーミアムモデル戦略?仕組みや活用メリット・事例まで紹介!
フリーミアムモデルは現在様々なサービスで利用されており、SaaSビジネスではフリーミアムモデルを活用したものが多くあります。
具体的な活用事例やフリーミアムモデルのメリットについて、仕組みを解説しながら紹介します。
目次[非表示]
フリーミアムモデルとは
フリーミアムモデルとは、SaaS・ゲーム・アプリなどにおいて基本的な機能を無料で使えるビジネスモデルのことを指します。
基本機能は無料ですが、有料プランに移行すればさらに多機能なサービスを利用できるようになるなど、追加機能を求めるユーザーに対して機能を有料で提供するというビジネスの仕組みです。
フリーミアムモデルは、私たちの身の回りにあふれています。
私たちが当たり前のように無料で使っているサービスも、有料プランへの移行でさらに便利な機能を使えるようになるのです。
ここから以下について解説します。
- フリーミアムモデルの定義
- フリーミアムモデルと無料トライアルとの違い
- フリーミアムモデルは集客に効果的?
フリーミアムモデルの定義
フリーミアムモデルは「Free(無料)」と「Premium(割り増し)」の2つの単語を合わせた造語です。
基本機能は無料で使えますが、有料プランにすればより多くの機能やサービスが受けられるというビジネスの仕組み。
SaaSビジネスでよく利用されています。
また、フリーミアムモデルと似たものに無料トライアルがあります。
後に詳しく述べますが、フリーミアムモデルと無料トライアルは似て非なるものですので注意が必要です。
フリーミアムモデルと無料トライアルとの違い
フリーミアムモデルと無料トライアルの違いは、制限期間なく使い続けられるかどうかにあります。
フリーミアムモデルは無料で使える期間が設定されていないため、無料で使える機能であればいつでも無料で使うことができます。
一方、無料トライアルの場合、無料でトライアルの期間が7日間と決められれば7日間がすぎると有料に強制的に移行されてしまいます。
無料トライアルの場合、ユーザーが有料移行までの日数制限や機能の使い心地などに注意し、有料にするかどうかを吟味しながら使う必要があると言えるでしょう。
フリーミアムモデルは、有料にするかどうかを顧客が長期的に判断できるため、気軽に使い始めやすいです。
戦略の方向性が似ている2つのモデルですが、どちらがより顧客が有料プランに移行しやすいか考えて選択しましょう。
フリーミアムモデルは集客に効果的?
先ほど紹介したように、フリーミアムモデルは無料トライアルよりも気軽に使い始められるという点で集客に効果的といえます。
私たちが身近で利用しているスマホアプリを考えてみましょう。
携帯を開くと、ほとんどのアプリを無料で利用していることがわかります。
スマートフォンが普及し始めたころと違い、無料で利用できる使いやすいスマートフォンアプリが増えたと思います。
私たちは、無料だけれども「質の高く使いやすい」アプリを求めていて、さらにそれを供給されるのが当たり前の時代に生きています。
「無料で機能が十分」といったサービスでないと、顧客は使い始めないと言っても過言ではありません。
それはSaaS製品も同じです。
フリーミアムモデルは集客に効果的なビジネスモデルといえます。
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フリーミアムモデルの仕組み・戦略
フリーミアムモデルがこれだけ広がったのは、サービスを提供する企業にとっても収益を得られる仕組みや、それを裏付ける戦略があるためです。
フリーミアムモデルの仕組みや戦略について理解し、フリーミアムモデルを活用した集客を行っていきましょう。
ここから以下について解説します。
- フリーミアムモデルの仕組み
- サブスクリプションと相性
フリーミアムモデルの仕組みとは
フリーミアムモデルは基本機能は無料で使えるが、追加機能やさらに大きいデータ容量などを利用できるよう有料プランに移行してもらえるようにするビジネスモデルです。
フリーミアムモデルに必要なものは以下の2つ。
- 無料の製品・サービス
- 有料の製品・サービス
これら2つがあって初めてフリーミアムモデルのビジネスが成り立ちます。
提供コストにもよりますが顧客のうち5%が有料モデルを利用すれば経営は成り立つと言われているため、ほとんどの顧客が無料プランを利用しても破産することはないといえるでしょう
無料版でサービスの価値を提供しつつ適度な制限を付ける仕組みが求められます。
より便利に利用したい、制限を解除したいから有料プランに移行しようと思わせることでフリーミアムモデルの仕組みは成功するのです。
事例を見れば、制限のかけ方を知ることができます。具体的な事例は後述しています。
サブスクリプションと相性が良い
サブスクリプションサービスはフリーミアムモデルの仕組みと相性が良いです。
サブスクリプションとフリーミアムモデルの相性が良い理由
- サブスクリプションサービスの提供にコストがかからない
- 定額で使い放題のサブスクリプションだから、無料でも顧客の満足を得やすく期間制限を設けても有料に移行しやすい
サブスクリプションサービスは、SaaS同様原価がかかりにくいビジネスモデルのためフリーミアムモデルの戦略でも利益を見込めます。
フリーミアムモデルはサブスクリプションサービスだけでなく、インターネットで利用できるデジタルサービスやSaaSビジネスで活用するのに向いています。
配布コストがかからないため、提供する側のコストを掛けずに済むためです。
コストの負担があまりにも大きいと、フリーミアムモデルは成り立ちません。
定額で使い放題という仕組みをもつサブスクリプションサービスは、ユーザーを満足させつつ期間の制限を掛けやすく、フリーミアムモデルを活用しやすいといえます。
フリーミアムモデルの制限パターン
フリーミアムモデルの成功には制限を上手く設定することが大切です。
制限が弱すぎると顧客が無料で満足してしまい、有料に移行せず利益が上がりません。
逆に、制限が強すぎると競合サービスの戦略に負け、顧客が流れてしまう可能性もあります。
ここからフリーミアムモデルで活用できる以下の制限パターンを紹介します。
- 機能制限
- 利用頻度・データ量を制限
- サポートを制限
- 広告を表示する
具体的な制限の仕組みを確認し、効率的に利益をあげる戦略を立てていきましょう。
機能制限
無料版に機能制限をかけ、有料版への移行を促す戦略があります。利用できる時間に制限をかけたり、使用できる機能に制限をかけることで、ユーザーに「より多くの機能を使いたい」「制限を気にせず使用したい」と思わせ有料に移行させる仕組みです。
機能制限の仕組みを利用したフリーミアムモデルの事例2つ
Zoom:無料版の場合、ミーティングの時間が40分までと制限される。
Canva:無料版では、デザインのサイズ変更や背景の削除といった機能が使えない。
また、Canvaは、機能制限だけでなくデータ量やサポートの制限もついておりフリーミアムモデルを有効に活用していることが分かります。
利用頻度・データ量を制限
利用頻度やデータ量を制限する戦略もあります。
無料版では利用頻度やデータ量が制限されてしまうため、「データ量を気にせず今までの機能を利用したい」というユーザーのニーズを生み出し有料に移行することもできます。
利用頻度・データ量制限の仕組みを利用したフリーミアムモデルの事例2つ
iCloud:無料版は5GBまでの制限。写真も容量をくいやすくすぐに制限に到達する。有料版はサブスクリプション制(50 GB:¥130)
Canva:無料版では5GBまでの制限。デザインツールのため容量がすぐ制限に到達しやすい事例。
有料版をサブスクリプションにすることで、顧客は解約を行いにくく、提供側は一定の利益を上げやすい仕組みになっています。
サポートを制限
サポートを制限する方法は、「サポートがないと使い方が複雑で、サービスを導入しても効果が得られない」といったSaaSサービスに向いています。
サポート制限の仕組みを利用したフリーミアムモデルの事例
Slack:ビジネス用チャットツールのSaaS。有料プランであれば年中無休のサポートが得られる。Enterprise Gridプランでは企業の課題に合わせてSlackが解決までアシストする手厚いサポートも可能。
有料版の中でもプランによってサポートの充実度を変えているのが、フリーミアムモデルを成功させる秘訣かもしれません。
広告を表示する
有料版では広告を非表示にするという戦略がよく使われています。
広告表示の仕組みを利用したフリーミアムモデルの事例2つ
Spotify:無料版では、曲の間に広告が流れるためアルバムを聞きたい場合など、曲を連続して聞くことができない。
YouTube:無料版では広告が動画の途中や初め・終わりに流れる。
この戦略を利用した代表的なアプリはYouTubeです。ユーザーが動画を早く見たいと思っても見られないため広告が流れて動画視聴にフラストレーションがたまります。そんなユーザーのためにYouTubeの有料版「YouTube Premium」の利用を促進するCMが流れ、ユーザーがついサブスクリプションで課金してしまうのです。
フリーミアムモデルの活用メリット
フリーミアムモデルは多くのメリットがあるため、様々なサービスでこの戦略が用いられています。
メリットを知り、フリーミアムモデルについての知識を深めていきましょう。
ここから以下のメリットについて紹介します。
- 導入ハードルが低く新規顧客を獲得しやすい
- フィードバックを受けやすい
- 口コミによる認知拡大
- 有料での導入につながる
導入ハードルが低く新規顧客を獲得しやすい
基本機能を無料にすれば顧客が気軽にサービスを利用してくれます。
利用までのハードルが低くなるため、新規顧客が目指しやすい戦略なのです。
フィードバックを受けやすい
フィードバックを多く受けられるというメリットもあります。
導入ハードルが低く、新規顧客を多く獲得できることで、サービスを利用するユーザーの数を増やし、利用するユーザーの業種や業界も広がるためです。
またユーザーの層が広がることで、サービスをより広い視点で見ることができるようになり新規機能の開発も可能になります。
口コミによる認知拡大
フリーミアムモデル戦略を利用し、ユーザー数の増加に成功するとサービスを利用したユーザーが多く口コミを行うようになります。
口コミはSaaSビジネスを成功させるための大きなメリットを担っています。
口コミを参考にする割合は年代に関わらず6割以上とも言われていて、非常に口コミの力が大きくなっていることがわかります。
口コミによる認知拡大がサービスの成功に繋がることは間違いありません。
有料での導入につながる
無料版でユーザーにより多くのメリットを実感してもらえれば、有料プランへの移行は難しくありません。
無料版でユーザーに「このサービスに価値を感じられる」「有料でも利用する価値がある」と思ってもらえることが大切です。
そのため、基本機能は制限をかけずユーザーに体験してもらうことが重要だといえます。
フリーミアムモデルの主な4つの成功事例
フリーミアムモデルを上手く活用すれば、サービスの売上向上に大きく役立つでしょう。
ここからフリーミアムモデルを成功させた事例を4つ紹介します。
事例をそれぞれ見ることで、フリーミアムモデルのメリットを感じられます。
フリーミアムモデルの成功例を確認し、バランスよく利用制限を付けることでサービスの売上向上を目指していきましょう。
紹介するサービスは以下の4つ。
①Abema
②クックパッド
③食べログ
④Dropbox
①ABEMA
Abemaはテレビ朝日とサイバーエージェントグループが共同出資して設立した株式会社AbemaTVが提供する、オンデマンドサービス兼ライブストリーミング形式インターネットTVプラットフォームです。
スポーツ・バラエティ・アニメ・ニュースなど幅広く配信していて、好きなタイミングで好きなだけ番組を閲覧できます。
TVを見ない人も増えているなか、TVの変わりとなるサービスとも言えます。
無料会員 |
一部ビデオ視聴可能 |
有料会員 |
月額960円(税込)
全てのプレミアム動画が視聴可能 放送中の番組は最初から見られない 動画ダウンロードができない コメントを見られない |
有料移行のタイミング |
過去の気になる作品を見たくなった時 Wi-Fiのある場所で動画をダウンロードしたい場合 |
利用制限のパターン |
機能制限 |
様々な番組が生放送で配信されることの多いABEMA。見たい番組が途中からしか見れない場合など、有料プランに移行することで初めから動画を見ることができます。
ユーザーにとって過去の番組をいつでも見られる点やABEMAの独占配信などABEMAの有料会員になることのメリットが多数あるため、移行するユーザーも多いでしょう。
②クックパッド
クックパッドは一般のユーザーがレシピを持ち寄り情報を集めたサイトです。専門家でなくても、レシピをかけるため家庭料理や時短レシピが盛りだくさんです。
無料会員 |
基本的なレシピ検索 |
有料会員 |
月額308円
人気順検索 レシピランキング 殿堂入りレシピ 専門家厳選レシピ プレミアム献立 |
有料移行のタイミング |
人気順で検索したい時 1週間の献立をクックパッドでたてたい時 |
利用制限のパターン |
機能制限 |
一般の人が書き込んでいるからこそ、自分の好みに合わない料理や説明が乏しいレシピが多く掲載されているのも事実です。
そこで便利な機能が人気順でのレシピ検索ですが、有料版にしかない機能です。
検索画面には人気順検索が表示されます。無料ユーザーは有料だと気づかず、人気順検索をクリックすると有料会員への案内が表示されます。
ユーザーがアプリを利用していて欲しい機能を有料版にすることで、ユーザーは機能にメリットを感じやすくなるのです。
③食べログ
食べログは飲食店探しや、お店の予約ができるサイトです。
一般のユーザーが書き込んでいるので忖度なしのコメントを見ることができる点がこのサービスのメリット。
飲食店は食べログで探すという方も多いのではないでしょうか。
無料会員 |
お店情報の検索・予約 |
有料会員 |
月額300円+税 プレミアムクーポン ランキング検索 |
有料移行のタイミング |
ランキング検索で簡単に良いお店を見つけたい |
利用制限のパターン |
機能制限 |
プレミアムクーポンでは、最低でも20%オフになるなど、有料会員になったほうがお得と思わせることができるため、メリットを感じやすい工夫がされています。
フリーミアムモデルでは、ランキング検索機能のようにユーザーがより満足できる検索結果を提供できるかどうかという点で無料版と有料版の差別化を測る場合が多いのでしょう。
④Dropbox
Dropboxは、広く普及しているオンラインストレージサービスです。
動画や文書など様々なファイルを共有できます。
無料会員 |
データの保存・共有 最大容量:2GB |
有料会員 |
月額1,200円(税抜) ※Plusプラン1人使用する場合 最大容量:2TB |
有料移行のタイミング |
容量が足りなくなった場合 |
利用制限のパターン |
データ量の制限 |
利用頻度が増え、文書だけでなく画像や動画もストレージに保存したい場合は、2GBでは足りることはありません。
無料版ではデータ量の制限のみ行い、他基本機能はすべて利用できるので有料への移行も行いやすいといえます。
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