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MRR・ARRの見方合っていますか?定義や計算方法から改善施策まで紹介!

SaaS事業者以外でMRR(Monthly Recurring Revenue)とARR(Annual Recurring Revenue)という言葉を聞いたことがないという人は、多いのではないでしょうか。MRRやARRの意味や背景はSaaS事業者にとって重要な意味を持っています。本記事では、MRRやARRの特徴や違い、計算方法、活用場面、分類、指標を利用する背景について紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.MRRとは?
  2. 2.MRRの種類・分類
  3. 3.MRRの計算方法
  4. 4.ARRの計算方法
  5. 5.MRRが活用される場面・背景
  6. 6.MRRを活用する際の注意点
  7. 7.MRRを改善する方法
  8. 8.Churn MRRの改善方法
  9. 9.ARRを向上させる方法
  10. 10.MRRは経営上の重要な指標となる!
  11. 11.BtoBの集客ならBOXIL


MRRとは?

MRRとは、月次経常収益とも呼ばれており企業が毎月継続して発生させている収益を指します。一般的に経常収益とは、一定期間ごとの収益を指しますがMRRは月次ごとの収益で計算をします。毎月の収益を示すMRRの指標を理解・把握することで、企業の収益増減を可視化することができるため、改善や施策に役立てることができます。


ARRとは?


ARRとは、年間経常収益とも呼ばれており企業が年間継続して発生させている収益を指します。年間を通して計上される収益になるため、一時的な収益は計上しません。例えば、追加購入した備品や初期費用に関しては、ARRに計上しません。ARRは、安定した利益増加を計測するため、継続して利益計上される対象のみになります。


ARRと混同しやすいNRRとは?

ARRと混同して利用されるNRR(Net Revenue Retention)とは、売上維持率を指します。売上維持率とはSaaSのようなサブスクリプション型のビジネスモデルに活用されることが多く、対象月の売上から利益を数値化して算出することで、来年の同時期の利益を予測することができます。NRRで算出した数値が100%以上であれば、売上の増加が早いことがわかります。ARRとは異なり、来年の収益を予測する指標として活用するか各月ごとの収益の指標として活用するかの違いがあります。


MRRとARRの会計上の収益の違いは?

MRRとARRの違いは、期間の収益計上の指標にあります。月単位でサービスを提供して利益を上げる場合は、MRRを利用して、年単位でサービスを提供して利益を上げる場合には、ARRを利用します。また、B2Cマーケティングで、月の契約数や解約数が一定出ない場合もMRRを採用します。


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MRRの種類・分類


SaaS事業者がMRRを正確に把握して管理することで、サービスの状況を収益から把握することができます。一般的にMRRの種類や分類は、次の4つがあります。

  • New MRR
  • Expansion MRR
  • Downgrade MRR
  • Churn MRR


New MRR


New MRRとは、新規でサービスを契約してくれたユーザーから得られる収益(MRR)を指します。New MRRは、基準とした月に増加したユーザー数と得られた収益から算出します。例えば、ある月に新規ユーザーを10人獲得して、ユーザー1人あたり月1000円のサービスを利用した場合は、その月のNew MRRは10,000円になります。


Expansion MRR


Expansion MRRとは、ユーザーのプラン変更により生じた追加の収益を算出する際に利用する指標です。SaaSでは、機能の搭載に向けて複数のプランや機能を提供することが背景としてあるため、上位プランでは新機能やコンテンツを追加することでユーザーにグレードの高いプランを契約してもらえるようにします。1ヶ月あたりのExpansion MRRを測定する方法は、追加で収益を計上することができた全追加収益を算出するだけです。しかし、New MRRはExpansion MRRには含みません。


Downgrade MRR


Downgrade MRRとは、ユーザーのプラン変更により生じた損失を測定する指標です。ユーザーが現在のプランよりも安いプランに切り替えた際に生じる減少金額をDowngrade MRRと呼びます。プランをダウングレードする場合は、機能やコンテンツとユーザーとの間でミスマッチが起きている可能性があり、将来的に解約される可能性があります。


Churn MRR


Churn MRRは、ユーザーがサービスを解約することで生じる損失を測定する指標です。損失額の合計金額がChurn MRRとなります。Churn MRRを正確に測定することでサービスからの離脱率を測定することができます。



MRRの計算方法


MRRの計算方法は、次の2つに分類されます。

  • 4種類のMRRを利用した計算方法
  • 月額利用料金を利用した計算方法


4種類のMRRを利用した計算方法


4種類のMRRを利用した計算方法は、次のように示すことができます。MRRを正確に測定することで月次の経常収益を把握することが可能です。

■計算方法

当月MRR = 前月MRR +(New MRR + Expansion  MRR - Downgrade MRR - Churn MRR)


月額利用料金を利用した計算方法


月額利用料金を利用した計算方法の場合は、以下の計算方法になります。月額利用料金を利用した計算方法の方が単純に算出できますが、離脱率などが含まれていないため概算の数値になります。

■計算方法

MRR=月額利用料×ユーザー数



ARRの計算方法


ARRは企業の成長率を測り改善を図っていく上で重要な指標です。ARRの計算方法を解説します。


ARRはMRRの12倍として計算する


ARRは月間経常利益を表す指標のMRRを12倍することで算出できます。そのためARRを算出したいときは、まずMRRを計算する必要があります。MRRは以下の4つの指標に分類されます。

  ● New MRR:当月の新規顧客により得られたMRR

  ● Expansion MRR:前月より取引額が増加した顧客から得たMRR

  ● Downgrade MRR:前月より取引額が減少した既存顧客により損失したMRR

  ● Churn MRR:当月に解約した既存顧客により損失したMRR

まず当月MRRの計算方法を解説します。

  ● 当月MRR=前月のMRR(New MRR+Downgrade MRR+Expansion MRR+Churn MRR)

ARRは上記をもとに以下の計算方法で算出します。

  ● ARR=MRR×12



MRRが活用される場面・背景


MRRが活用される場面・背景について解説します。


投資家の判断指標


MRRは投資家にとって判断するための重要な指標になります。ビジネスや事業の成長が数値で表され分類することで、投資を行う上での判断が行いやすくなります。投資家はNew MRRとExpansion MRRの大きさを重要視しています。ビジネスの成長率が高まっていくにつれてChurn MRR、Downgrade MRRなどの指標が重要視されるようになります。


SaaS Quick Ratioの分析材料


SaaS Quick Ratioとは、SaaSの成長率や健全性を図るための重要な指標です。下記の計算方法で算出することができます。

  ● (New MRR+Expansion MRR)÷(Downgrade MRR+Churn MRR)

この値が大きいほどビジネスの成長率が高いと判断できます。成長性の高さは、今後持続可能なビジネスであるか判断する上でも役に立ちます。


ビジネスの安定性・成長性の判断材料


MRRは、業界業種問わずビジネスの成長性や安定性を判断していく背景として活用されることが多いです。


ビジネスの現場課題の判断材料


4つに分類されるMRRの中でChurn MRRやExpansion MRRの値が高い場合は、損失額が高いということを表すため、ビジネスの現場で課題点が多いということが判断できます。



MRRを活用する際の注意点


MRRを活用していく際の注意点を解説していきます。


ディスカウント・無料期間を把握する


MRRを算出する際に、事前にディスカウント・無料期間を把握しておく必要があります。加入後〇年間は半額で利用できるなどのディスカウントや契約後〇か月は無料などの割引期間を設けているサービスが多いです。ディスカウント・無料期間があるサービスの場合は実際の請求額で算出することが大切です。


他収益と分けておく


同じ顧客から得た収益でも、MRRとそれ以外の収益は明確に分類する必要があります。MRRは月次経常利益とも言われており、企業が毎月継続して得る収益を表す指標です。初期費用や追加の料金などは明確に区別しましょう。


支払い遅れがないようにする


何らかの理由・背景があり顧客の支払いが遅れた場合にも注意が必要です。その場合は、未入金額も含めてその月のMRRを算出しましょう。



MRRを改善する方法


ビジネスを成功させていくためには、4つに分類されたMRRの値の変化を定期的に分析した上で、改善策を考え取り組み続けていく必要があります。下記では、MRRを改善する方法について解説していきます。


New MRRの改善方法


新規顧客によって得られたMRRを表すNew MRRの改善方法については、次の4つに分類されます。


新規顧客を獲得する

New MRRの数値が良くない場合は、まず新規顧客を獲得するための策を講じる必要があります。新規顧客を獲得していく上で重要なことは見込み顧客獲得と成約率向上をはかることです。


営業方法を変える

商談になかなかつながらなかったり成約率が低い場合は、営業方法を変えるのも手法の1つです。例えば対面の営業からSFAツールの導入に変更するなど、成約率が低い原因などを分析して有効な方法に変えていきましょう。


既存集客方法の精度を向上させる

現在行っている集客方法をより効果的なものにしていくために、A/Bテストを実施するなどして精度を向上させていくことも大切です。


ターゲットセグメントを変更する

新規顧客獲得数が少ない原因としてターゲットが合っていないということも考えられます。再度、自社のポジションを分析し適切なターゲットマーケティングを行っていきましょう。


Expansion MRRの改善方法


Expansion MRRを改善する背景には、顧客獲得の際にかかる費用の回収期間を短縮する意図があります。下記ではExpansion MRRの改善方法について解説しています。


アップセルやクロスセルにつながる活動をする


アップセルとはより高いグレードのサービスに乗り換えてもらうことで、クロスセルとは追加で商品やサービスを購入してもらうことをいいます。Expansion MRRを改善していく上で大切なのは、既存の顧客に対してアップセルやクロスセルにつながるよう働きかけていくことです。


顧客にメリットや必要性を体験してもらう


無料体験期間などを設けて別のサービスや商品の必要性を実感してもらうことは、アップセルやクロスセルにつながる効果的な方法といえます。別のサービスを利用することで今より何がどう改善されるのかなどを具体的にアピールしていくことが大切です。


「サポート」に徹する提案をする


商品やサービスを顧客に売り込むのではなく、「サポート」するという目的や意識・その背景を常にもって提案していきましょう。


Downgrade MRRの改善方法


Downgrade MRRの数値が良くない場合は、顧客のサービスに関する満足度や興味が提言している可能性があります。Downgrade MRRを改善していくためには、顧客の利用頻度を高めることが大切です。具体的な方法を解説していきます。


メールや電話で利用促進を図る


顧客に対して、積極的にメールや電話を利用してサービスの利用を促していきましょう。顧客の記憶に残るような働きかけを行うことが大切です。


ユーザーサポートを拡充する


ユーザーサポートを含めて顧客体験を改善させるようなサービスを拡充していきましょう。


UIやUXを見直す


UIやUXの精度が低いと、顧客は途中で利用をやめてしまう傾向にあります。再度、UIやUXを見直すなどサービスの品質改善に努めていきましょう。



Churn MRRの改善方法


Churn MRRの改善方法について解説します。ポイントは解約を防止することです。


解約率を下げる


顧客の解約・退会率を抑えるための対策を講じる必要があります。サービスが顧客の問題解決につながっているか、価格がサービスと見合っているかなどを再確認しながら改善策を講じていきましょう。


事前に顧客にヒアリングをしておく


事前に解約する背景を明確化するなど顧客にヒアリングしておくことも大切です。



ARRを向上させる方法


ARRを向上させる方法を4つの分類に分けて解説していきます。


契約金額を上げる


ARRはMRRの数値に基づいて算出される指標であるため、新規顧客獲得数を増やし契約金額を上げていくことが大切です。また既存の顧客に対しては、アップセルやクロスセルにつながる策を講じて取り組んでいきましょう。


解約を防ぐ


Churn MRRのコストを下げていくためには、顧客に対して事前にヒアリングをおこない解約の背景を明確にしたりサービスの品質向上をはかったりして解約率を下げていくことが大切です。


ダウンセルを防ぐ


Expansion MRRを下げるためには、サービスが価格に見合っているかなどを見直したりサポートを充実させたりしてダウンセルを防いでいくことが重要です。



MRRは経営上の重要な指標となる!


ここまでMRRの分類や背景、改善方法について解説しました。MRRはサブスクリプションサービスを導入しているビジネスの成長率を高める上で重要な指標です。4つに分類されたMRRを測定した後は定期的にその結果を分析しその都度改善策を図っていきましょう。改善を繰り返していくことでビジネスの成長、成功につながります。



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